野球では4番、学業では東大を目指す春日部共栄の山本大貴=市営大宮、坂名信行撮影
(10日、高校野球・埼玉大会 春日部共栄17―0入間向陽)
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埼玉の強豪、春日部共栄で4番を打つ山本大貴(3年)は、2年の3学期の成績が12科目で「オール10」だった。「チーム一丸となって甲子園に行きたい。そして、浪人してでも東大に入りたい」
10日あった入間向陽との初戦では、安打こそ出なかったが3四球を選んでコールド勝ちに貢献。「ヒットも四球も同じ。素直にうれしいですよ」と話した。
山本が東大を目指すと決めたのは、今年の春。「本多監督がいたから」と話す。
本多利治監督(59)は高知高から日体大を経て、春日部共栄の監督に。今年で38年目になる。「高知の土佐高校の野球が好きでね。文武両道と軽く言うがなかなかできることではない。春日部共栄に来てからはそれができるチーム作りをしてきた」
寮には「東大ルーム」と名付けられた勉強部屋も作った。「過去にも東大を目指した選手はいます。山本は他大学を希望していたが東大を目指してみないかと言ったのが始まりです」と振り返る。
夏の甲子園に5度出場した春日部共栄には、スポーツに特化したコースがあるわけではない。本多監督によれば、ベンチ入り20人のうち6人が国立大学を目指しているという。
山本は「中途半端が嫌いで負けず嫌い」と自分を分析する。勉強を始めるのは練習や寮での食事などを済ませた後の午後11時から。睡眠時間は5時間弱だ。「みんなからは心配されるが、慣れました。自分としても譲れないところがある」。さすがに大会期間中は早く寝るようにしている。
山本は中学時代、強豪チームの世田谷西シニアに所属していた。1年生のころは5番手投手だったが、3年生で背番号「1」をもらったという。春日部共栄では昨秋までエースだったが、ひじを痛めて打者に専念。本多監督は「本来、4番タイプではないが、かえがたい選手。練習に取り組む姿勢を見れば、仮に打てなくても誰も文句は言わない」とチームの象徴に据えている。
野球でも勉強でも、妥協をしない山本。10日の試合後は、「きょうは空いている時間があるので、そこで勉強します」と言った。(坂名信行)