マダニから身を守ろう
夏本番。秋にかけて農作業のほか、キャンプや登山などでふだん行かない場所に出かける人も多いだろう。致死率が高い重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱など、ダニが媒介する感染症にかからないためには、どんなことに気をつけたらよいのか。注意点をまとめた。
マダニの季節、野外活動に注意 日本紅斑熱、過去最多に
国立感染症研究所によると、マダニは世界に800種以上、国内には約50種が生息している。シカやイノシシ、野ウサギなど野生動物が通る畑や草むら、あぜ道などにいる。体長は1~数ミリ程度だが、血を吸って1~2センチほどに膨張することもある。犬や猫にも付着して血を吸う。
かまれないためにはまず、肌の露出を避けよう。長袖、長ズボン、帽子、手袋を身につけ、首にタオルを巻くのもよい。虫よけ剤を使ってもダニの付着を完全に防げるわけではないが、ある程度は有効と考えられている。
野外から帰宅した際は、上着や作業着を屋内に持ち込まないようにしたい。服の上から粘着テープでダニをとるのも有効だ。帰宅直後に風呂に入ったりシャワーを浴びたりするのもよい。体にダニが付着している場合、速やかに気づくことにつながる。
ダニは数日にわたって血を吸うこともある。吸血中に無理やり取ると、ダニの口の部分が皮膚の中に残って膿(う)んでしまうこともある。皮膚科などを受診して取ってもらうのが望ましい。
かまれてから発症するまでの潜伏期間はSFTSが6日~2週間、日本紅斑熱は2~8日。症状が似た感染症は、ツツガムシ病などほかにもあり、症状だけで判別するのは難しい。国立感染症研究所は「ダニにかまれたら約2週間は体調の変化に注意してほしい」と注意を呼びかけている。(小川裕介)