自ら打席に入って投手の指導をする小山隆司さん(中央)=小山市東山田
この春、プロ野球・楽天の元コーチが高校野球指導の現場に立った。小山北桜高校のコーチ、小山(こやま)隆司さん(36)だ。小山さんは2006年から楽天が日本一を取る13年までの8年間、体調管理などを担うコンディショニングコーチを務めた。現在は常勤講師として体育の授業を見ながら、野球部の指導に当たる。実は学生時代から教員を志望していたという小山さんは「今は毎日が充実している」と話す。
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小学4年で野球を始め、石橋高校時代は投手兼三塁手として活躍した。自分たちで練習メニューを考える中で人間の身体に興味を持ち、国士舘大、筑波大大学院へ進学。トレーニング理論などを学び、マッサージやリハビリの経験を積んだ。大学院を出ると、知人の紹介でコンディショニングコーチとして楽天に入団した。最初の1年間は2軍を担当しながら、指導者としてのノウハウを学んだ。
現在は大リーグ・ヤンキースで活躍する田中将大選手が入団した07年、小山さんは1軍担当を任された。甲子園で注目を集めた田中選手。入団当初は何をするにも小山さんに相談があったという。「年が近い方だったんで、話しやすさがあったのかもしれません」。田中選手との交流は今も続いている。
教師になる夢を追い求めて、13年末に自ら退団。数年間の米留学の後、教育の現場に立った。この4月からは小山北桜で、念願の高校野球の指導者になった。筋トレのメニューなどはプロ時代の経験を生かしたもので、栄養学なども学ばせる。チームを率いる脇田航貴主将(3年)も「具体的な指導でわかりやすい。多くのことを吸収したい」と信頼を寄せる。
楽天時代はプロの目的意識の高さに学ばされることが多かったという小山さん。「田中選手を含めて一流の選手は目標を決めたら、そこにどうやってたどり着くかを頭の中で整理できている」。高校生にもプロの世界での体験を伝え、少しでも役に立ててもらいたいと考える。
小山さんの指導の成果もあり、小山北桜は夏の県大会で6年ぶりの初戦突破を果たした。小山さんは「高校野球は勝利至上主義になるべきではない。それでも、努力をすればいいことがあるということを体験できただけでも価値のある1勝だった。これからも一戦必勝で勝ち進んでほしい」と喜びを語った。