■いちから解説! 東京五輪、どんな課題が?
東京オリンピック・パラリンピックまであと3年となりました。大会をめぐる問題はどこまで決着し、そしてどんな課題が残っているのか。大会の準備に取り組む「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会」とは、どんな組織なのか。いちから解説します。
2年前、計画の白紙撤回で話題になった新国立競技場。新しい計画のもと、昨年末から基礎工事が進められています。ただ、維持費が1年でおよそ24億円かかるため、将来赤字にならないよう、お客さんにたくさん来てもらって収入を得るための活用策が課題です。
例えば大会の後、陸上のトラックをつぶし、主にJリーグの試合に使う専用の球技場にする案が有力です。そのうえで、年に数回はコンサート会場として活用することも見込まれます。一度に多くの収入を得られますが、屋根のない構造にしたため、騒音について周辺に住む人たちとの調整も必要です。
もう一つの大きな課題が、大会を開くための、1兆3900億円ものお金の分担でした。関係者が議論を重ねたあげく、ようやく5月末におおむね決着がつきました。
このうち、東京都が6千億円、国が1500億円を負担し、残りの6千億円を組織委員会が賄います。組織委員会の収入は税金ではないため、チケットの売り上げやスポンサー料などでまかなう予定です。
このほか、都心と臨海部につくる選手村を結ぶ大動脈となる予定の「都道環状2号線」は、東京都の小池百合子知事が築地市場の豊洲移転を延期したため、具体的な建設計画が不透明になっています。
大会の準備に取り組む組織委員会は、運営のための専門機関です。メインのオフィスは2014年に開業した高層ビル、虎ノ門ヒルズの中にあります。
仕事内容は、競技の運営、仮設の競技会場の整備、開会式や閉会式、選手や観客、大会関係者の輸送、選手村の運営、警備、ボランティアの募集や研修など多岐にわたります。仕事内容が幅広いため、職員も省庁や東京都や区役所の公務員のほか、競技団体、メーカー、広告代理店などからの出向など、さまざまなところから集まってきています。
理事は、体操の田中理恵さん、柔道の谷本歩実さん、障害者水泳の成田真由美さんなどのオリンピアンやパラリンピアンや、プロ野球ソフトバンクの会長の王貞治さんなどスポーツ関係者のほか、写真家の蜷川実花さん、作詞家の秋元康さんも名を連ねています。
2年前、撤回して選び直して話題になった、大会エンブレムを決めたのも組織委員会です。この時の反省も生かし、8月に始める大会マスコットの公募では、候補作を全国の小学校のクラス単位で投票してもらい、最も得票数の多かったものをマスコットに決める方法を採ります。このほか聖火リレーのコースなどについても検討しています。