栃木大会決勝で九回途中まで1失点に抑えた作新学院の篠原=清原球場、坂名信行撮影
(23日、高校野球栃木大会 作新学院15―1国学院栃木)
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九回1死、ベンチ前からマウンドに作新学院のエース大関が向かった。先発して1失点に抑えていた篠原が、「頼んだぞ」と大関にボールを手渡す。リードは14点。最後はエースの大関が締めた。栃木大会7連覇。大会前、「(昨夏の全国制覇で手にした)大優勝旗を全員で返しに甲子園に行く」というチームの誓いを達成した。
昨秋、チームは左腕、大関が投打の中心にいた。それが今春、小針監督は右腕の篠原ら2番手以降の投手の成長を促すかのように、大関を投げさせなかった。大関が投げたのは春季関東大会準決勝だけだ。篠原は準々決勝に先発し、早稲田実の清宮に本塁打を浴びるなど8回を投げて4失点したが、勝利に貢献。「良い打者には変化球をうまく混ぜていかないと打たれることも実感できた」と振り返る。
春まで小針監督から「マウンドで覇気を出せ」と言われてきた篠原はこの夏、堂々とした投球を見せた。1回戦から準決勝までで計15回を投げて1失点。「打たれても下を向かなくなった」と主将の添田は言う。迎えた決勝。直球は130キロ台だが、切れの良いスライダーとチェンジアップを丁寧にコースに投げ、凡打を誘った。
昨夏の投手陣には今井(現西武)という大きな存在がいた。「今年は大関と互いに支え合っていきたい」と篠原が言えば、大関は「篠原とは競い合ってきた。安定した投球をしていて信頼している」と話した。
今年の作新学院も添田、鈴木を中心に昨夏にも負けない切れ目のない打線ができつつある。投打ともに試合を追うごとに成長しながら、全国選手権2連覇を目指す。(坂名信行)