女子200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得し喜ぶ大橋悠依=池田良撮影
(24日、水泳・世界選手権 女子200個人メドレー)
大橋悠依、200メドレーで銀 世界水泳初出場の21歳
メダル争いの本命は、意図的に、ダークホースの仮面をかぶっていた。
女子200メートル個人メドレー決勝で銀メダルをつかんだ大橋悠依。平井伯昌監督は「(メディアの)みなさんの前で大橋にメダルの可能性がありますって言わなかったの、ちょっとずるいんですけど」と、含み笑いしながら作戦を明かした。
初出場の大橋にとって最初の種目。過度の期待を背負うと、泳ぎを狂わせる恐れがある。大橋も平井監督も好調を感じていたからこそ、準決勝は終盤に力をセーブして8位通過。あえて端の8コースにまわり、自分だけの泳ぎに集中する狙いもあった。
決勝。スタート直後のバタフライで「仮面」を脱いだ。直前の高地合宿で、50メートルを27秒台で入るための練習を重ねてきた。4月の日本選手権は自己ベストが出たものの、50メートル通過は28秒28。初めて27秒67で突っ込んだ勇気で勢いづいた。
ラスト50メートルの自由形。「もしかしたらメダルがある」と感じ、「最後は腕も手もちぎれてもいいくらい回しました」。自己ベストを2秒以上更新する2分7秒91の日本新記録で泳ぎきった。
東洋大4年。2年のころは極度の貧血で絶不調だった。スランプを乗り越え、世界の舞台で「自分でもちょっとびっくりするくらい落ち着いてできた」。
中学1年の授業参観、夢を題にした作文で「私の夢はオリンピックに出ることです」と宣言した大橋。今後は世界でも本命としてマークされるレースが待っている。(増田啓佑)