「松竹大歌舞伎」の製作発表で答える中村獅童さん=28日、東京都港区
肺腺がんで療養していた歌舞伎俳優の中村獅童さん(44)が、11月1日から全国各地を巡演する秋季公演「松竹大歌舞伎」で舞台に復帰し、「義経千本桜 すし屋」の「いがみの権太」を初役でつとめる。念願の役だったといい、28日に東京都内であった製作発表で「復帰できることが一番の喜び。権太という大役をやらせて頂けるのは感慨深いことです」と話した。妻が妊娠5カ月だということも明かし、笑顔を見せた。
中村獅童さん、初期の肺腺がんで休演 健康診断で発見
肺がん「奇跡的な早期発見」 獅童さんコメント全文
獅童さんは初期の肺腺がんと診断され、5月末に手術を受け、6月上旬に退院。療養を続けていた。舞台は福岡・博多座の「六月博多座大歌舞伎」と東京・歌舞伎座「七月大歌舞伎」を休演していた。
復帰に向けて、ニンジンジュースを飲んだり、散歩やスポーツジムに通ったりして体力増強を図っているという。療養中は「毎日毎日生きていることに意味があるんだとすごく深く思った」と明かした。
妻の妊娠について「新しい命にたくさん勇気をもらい、何としても健康になって長生きしたいと思いましたね」とかみ締めるように話していた。出産は12月末ごろの予定という。
「いがみの権太」はすし屋の息子だが、勘当されているならず者。「小悪党だが、愛嬌(あいきょう)があって人間味あふれる権太を出していけたらと思います」と話した。権太を演じることで、「義経千本桜」に登場する知盛、忠信、権太の立ち役3役をつとめることになる。
公演では「すし屋」のほか、河竹黙阿弥作「釣女(つりおんな)」も上演。11月26日まで。仙台市や札幌市、千葉市など、各地を回る。(山根由起子)