井浦新さん=村上健撮影
12日放送のNHKBSプレミアムのドラマ「返還交渉人」(夜9時)に出演する井浦新さん(42)。45年前の沖縄返還に向け奔走した外交官・千葉一夫を演じる。実在の人物を演じるにあたっての心構えや、役者論を聞きました。
孤独は嫌いじゃない 井浦新、気骨の外交官を演じる
――千葉一夫のことはご存じでしたか。
台本を渡されるまで、まったく知らなかったので、様々な資料を読んだり見たりするところから始めました。当時の千葉さんを知るインタビューなどでは、みなさん「とにかく怖かった」って言うんです。それは人柄を知るキーワードだったんですが、嫌いだから怖いじゃなく、その前後の文脈には愛情がこめられているんです。語るとき笑顔の人すらいて。
それって、どんな人なんだろう?って僕なりに探った時に、彼はとにかく真剣に生きた人だった、と。演じるにあたって大事にしたのは、とにかく真剣に生きて、生命感・躍動感あふれる人物として表現しようということでした。
――沖縄戦のことはご存じでしたか。
それは、もちろん。プライベートでも沖縄戦の跡を訪れたり、地元の方に戦争の話を聞いたりはしていました。知らなければいけないし、知りたいと思っていましたし。
ロケの間、現地の人と話す機会もあったんですけど、沖縄のために闘った千葉一夫という官僚がいるというのは多くの人が知っているんです。存命の時に講演に行ったという人もいらっしゃった。だから、知っている人が見ても、気にならないように演じなくてはいけないというのが課題でした。
――役作りのために何をされましたか。
実在する人物を演じさせてもら…