二松学舎大付の三塁コーチ・佐藤巽君=北村玲奈撮影
(18日、高校野球 三本松5―2二松学舎大付)
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■二松学舎大付・佐藤巽
自称「嫌われ役の学生コーチ」。部員に厳しい言葉を浴びせてきた。
昨秋、市原監督から打診された。「今のままじゃレギュラーは難しい。コーチにならないか」。「やらせてください」と即答した。練習試合でミスを連発し、選手として限界を感じていた。それなら、監督の役に立ちたいと思った。
監督は憧れの人だ。ミーティングは長い。技術から精神論まで、3時間も費やす日があるけど、話が魅力的で飽きない。「立ち入り禁止の場所に友達がいる。見て見ぬふりをするのか。仲間を裏切るな」。叱っても、後で必ずフォローする。部員を見限ることがなかった。
自分は思ったことがそのまま口を突くタイプだ。言葉遣いも悪いが「自分が怒れば、監督さんが怒らずに済む」と思った。
寮の食事では選手が食べる米の量を、目の前の計りでチェック。筋トレも監視。「嫌なら野球、やめちまえ」。きつい言葉を選んだ。雰囲気を引き締めるためだ。主将の松江とは何度も口論になった。
遊撃手の永野は「ボロカス言われてきた」と苦笑いしつつ、「あれだけ言えるのは尊敬できる」。監督は「第二の監督」と認めてくれ、「佐藤に怒られる前にちゃんとしよう」とみんなに言ってくれた。一番うれしかった。
この日、九回1死満塁の守りで伝令に走った。「追いかける方が楽しいだろ」と声をかけた。みんなが緊張しているように見え、厳しい言葉は出せなかった。「もっと何かできたと思うんですが」。一息ついて、続けた。「僕の仕事はまだ終わっていない。この悔しさを後輩たちに伝えていかないと」。最後まで「嫌われ役」を全うしたい。(小俣勇貴)