1988年のソウル五輪の陸上男子100メートル決勝は昼間の開催。ベン・ジョンソンは、カール・ルイス(右)を破って1位でゴールしたが、ドーピングで金メダルを剝奪(はくだつ)された
開幕まで3年を切った東京五輪。大会組織委員会では、2004年アテネ五輪ハンマー投げ金メダリストの室伏広治・スポーツ局長らを中心に、競技日程の検討が急ピッチで進む。過去の大会では「なぜこんな時間に」と、選手たちが首をかしげるような例も。7~8月の東京は、連日30度を超す酷暑が予想され「1964年大会のように、10月にすれば良いのでは」との指摘もある。日程はどうやって決まっていくのか。
過去の五輪の競技時間を見ると、世界選手権ではあまり見かけない午前や昼間に花形種目を行うことがある。カール・ルイス(米)とベン・ジョンソン(カナダ)が対決した88年ソウル大会の陸上男子100メートル決勝は昼間だった。北島康介の「なんも言えねえ」という流行語が生まれた08年北京大会の競泳は、午前に決勝があった。冬季も羽生結弦が連覇を目指す来年の平昌大会のフィギュアスケートは午前に競技が始まる。
なぜ、こうなるのか。室伏局長は「競技時間は組織委が勝手に決めているのではなく、主に六つのポイントがある」と説明する。
①選手の経験(モチベーションやパフォーマンス)
②国際競技連盟の規定
③放送権者
④人気競技のメダル決定などが同じ日に偏らない
⑤種目が始まる順番などを男女均等に(ジェンダーバランス)
⑥輸送などのオペレーション
特に注目されるのが③(放映権)だ。国際オリンピック委員会(IOC)の資金源は、テレビ局からの収入だ。昨年のリオデジャネイロ大会では世界で36億人がテレビ観戦したとの推計がある。特に米国のテレビ局・NBCは、32年大会までの放映権を持っている。金額は24年からの夏冬6大会などで計76億5千万ドル(約8415億円)。日本の放送局(NHKと民放各社の共同事業体)も、平昌や東京を含む18年から24年の夏冬の4大会で計1100億円をIOCに払う。
ソウル大会の陸上100メート…