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襲撃のトラウマなお街に 工藤会「頂上作戦」から3年

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繁華街をパトロールする福岡県警の警察官=北九州市小倉北区



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福岡県警が指定暴力団工藤会(北九州市)の最高幹部らを逮捕した「頂上作戦」から11日で3年。暴力追放に取り組む市民らが襲われた事件のショックはいまも街に影を落とす。一方で、被害者がトップの責任を問う訴訟や、組員の相次ぐ離脱など、組織への打撃となる動きもある。


7日夜。北九州市小倉北区ではこの日も、繁華街の詰め所を拠点に暴力団を警戒する県警のパトロール隊が巡回していた。


あるスナックの女性が、店の奥にしまい込んだ標章を見せてくれた。「ここ数年、街で組員は見かけなくなった。でも、もう一度貼る気にはまだなれない」


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外したまま店の中にしまってある「暴力団員立入禁止」の標章=北九州市小倉北区(番号にモザイクをかけています)



繁華街の飲食店に組員が立ち入るのを禁じる標章制度は5年前、県暴力団排除条例の改正に伴い始まった。福岡市や北九州市など5市7地域の繁華街の店などを対象に、店側の申請で県公安委員会が掲示する。無視して入店した組員に中止命令を出し、違反者には罰金(50万円以下)も科せる。


だが、北九州市では制度導入の直後から、放火やホステスが顔を切られるなど、掲示店を狙ったとみられる事件が相次いだ。店への脅迫電話もあった。県警は、暴排運動への協力者に対する見せしめの意図で、工藤会が襲撃したとみて捜査を始めた。


このスナックは開始から間もなく掲示したが、その後に取り外した。女性は工藤会による事件に巻き込まれた過去があり、その恐怖が「トラウマ」という。「トップは逮捕された。でも、残りの組員がいる限り、標章で狙われるかもしれないと思ってしまう」


放火事件があった小倉北区のビルでは、20軒ほどの飲食店のうち標章が店頭に貼られた店は4軒。このビルに入るスナックの女性は「色々あって、はがした店が多い。怖いからね」。近くでバーを営む50代男性は、店頭に一度は掲げた標章を取り外した。貼ってまもないころに脅しめいた電話があり、怖くなったという。


県警によると、市内(小倉北区、八幡西区)の掲示店は制度が始まった2012年8月の末に1114軒(掲示率74%)あったが、4カ月後には235軒が掲示をやめた。14年末は762軒と当初より3割以上減少。昨年末は820軒(同55%)と増えつつあるが、当初を下回る。繁華街の中洲がある福岡市博多区や久留米市、大牟田市が1~3割増えたのとは対照的だ。全体では12年8月末時点で3765軒だったが、昨年末は3836軒。ただ店の総数も増えており、掲示率は80%から73%に下がっている。


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標章掲示率の推移



標章を掲示した店に入った組員への中止命令は今年6月末までに県内で45件。うち工藤会が14件で最多だ。15年以降は3件のみで、県警幹部は「組員が掲示店を避けるようになっており、成果は出ている」とみる。


県警は今も、繁華街で警戒活動にあたり、標章を貼っていなければ、工藤会の出入りがある店も含め掲示を呼びかけているという。


ただ、思いは複雑だ。県警幹部の一人は「結局、放火も切りつけも、この『標章』で起きた。逮捕されていない組員が何をするか分からない怖さがあって、こちらから掲示を強く頼めない事情もある」と話した。


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北九州市小倉北区の繁華街にある飲食店に掲げられた「暴力団員立入禁止」の標章(番号をぼかしています)



県警幹部は「まだ工藤会を恐れる店は多い。植え付けられた恐怖は簡単には消えない」。標章絡みの襲撃事件で未解決のものも残っており、「解決すれば掲示店は増えるだろう。捜査を続けていくしかない」と話した。


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