第1エンド、ショットを放つLS北見のスキップ藤沢。スイーパー吉田夕(左)と鈴木=北村玲奈撮影
カーリング女子の2018年平昌五輪日本代表は、ロコソラーレ(LS)北見に決まった。10日午前に行われた中部電力との代表決定戦第4戦を9―5で勝利し、通算の対戦成績を3勝1敗として、3戦先勝方式の決定戦を制した。
第4戦はLS北見が立ち上がりから優位に試合を進めた。有利な後攻だった第1エンド、ハウス内に常に二つの石を置き、相手に重圧をかけた。中部電力のスキップ松村千秋はラストショットで相手の石を二つともはじき出すダブルテイクアウトを狙ったが、このショットがどちらの石にも当たらずハウスを通過。直後にLS北見の藤沢五月がハウス中心部に石を止めるドローショットを決め、いきなり3点を奪った。
中部電力も1―5と劣勢で迎えた第5エンドで意地を見せた。松村がハウス手前の二つのガードストーン(進路を塞ぐために置く石)の間の狭いスペースを通してハウス内まで運ぶショットを決め、2点を取って、追いすがった。
だが、LS北見は強かった。第7エンドは不利な先攻だったが、リードの吉田夕梨花からスキップの藤沢までの4人が確実にいいショットをつなぎ、相手のスキップ松村が難しいショットを選択せざるを得ないような局面をつくっていく。ハウス中心部を狙った松村のラストショットは、ハウス手前のLS北見の石にぶつかり、阻まれた。LS北見はこのエンドで2点をスチールし、8―3とこの時点でほぼ試合を決めた。
最終第10エンドの途中、勝ち目がなくなった中部電力の選手たちがLS北見の選手たちに握手を求め、試合は終わった。
LS北見はメンバー5人全員が北見市(旧常呂町を含む)出身。LS北見が五輪代表になるのは初めてだが、10年夏にこのチームを立ち上げたリザーブ(補欠)の本橋麻里(31)にとっては、チーム青森で出た2006年トリノ、10年バンクーバー大会以来3度目の五輪となる。「支えてくれた周囲の方や家族に感謝したい。試合に出られない悔しさもあるし、後輩たちのたくましさに刺激される部分もある。燃えさせてくれる後輩たちがいて、私は幸せです」と話した。
サードの吉田知那美(26)は北海道銀行の一員として出場した前回14年ソチ大会以来、2度目の五輪だ。「常呂に帰ってきて良かったなと心から思う。迎え入れてくれた本橋選手に感謝している」と言った。
スキップの藤沢五月(26)は4年前、中部電力のスキップとしてソチ五輪代表決定戦に臨み、北海道銀行に敗れている。念願の初の五輪出場を決め、「私自身五輪に出ていないという悔しさがあって、今まで戦ってきた。ここから五輪までに成長したい」。そして「中部電力を辞める時に、松村から『負けないから』と声をかけてもらった。お互いに刺激し合えながら戦うことが出来たし、中部電力さんがいたからこそ私たちの成長もあった」と古巣への感謝も忘れなかった。
吉田知那美の妹でリードの吉田夕梨花(24)、セカンドの鈴木夕湖(ゆうみ)(25)も初の五輪代表。吉田夕は「地元で五輪を決められてうれしい。私たちは相手ではなく、常にアイス(氷の状態)と戦うチーム。また今日にみたいにアイスと向き合って戦える五輪にしたい」。本橋からポジションを奪う形で試合に出ている鈴木は「経験のある麻里ちゃんをリザーブにおいて試合をする以上、結果を残さないといけないと思っていた。さらにチームとして強くなって、五輪に臨みたい」と話した。(平井隆介)
▽第4戦(LS北見3勝1敗)
LS北見 3002012001 9
中部電力 0100200110 5
■カーリング女子平昌五輪代表決定戦の結果
第1戦 LS北見9―1中部電力
第2戦 中部電力7―5LS北見
第3戦 LS北見8―3中部電力
第4戦 LS北見9―5中部電力
通算3勝1敗でLS北見が平昌五輪代表に決定