サルマン・サウジアラビア国王(右)と会談する河野太郎外相=11日午前、サウジアラビア・ジッダ
「アラーアクバル(神は偉大なり)! アラーアクバル!」
サウジアラビア・ジッダのキング・アブドルアジズ国際空港。河野太郎外相が搭乗予定のカイロ(エジプト)行きサウジアラビア航空機内に突然、乗客のイスラム教徒の祈りの大合唱が響いた。記者は、河野外相を取材するため同じ便に乗り込んでいた。
飛行機は出発予定の午後2時5分を1時間半以上過ぎても、駐機場に止まったまま。いすに座って談笑している乗務員に聞いたが、「機器の不備」「書類の不備」など答えは様々で、本当の理由は判然としない。
カイロまで空路で約2時間。午後4時半過ぎからの日エジプト外相会談や、その後の第1回日アラブ政治対話はどうなるのだろうか。そんなことを思いながら、うつらうつらしていたら、大ボリュームの祈りの声。一気に目が覚めた。
ジッダに近いメッカへの巡礼を終えた乗客で満員の機内には、開け放たれたままのドアから入り込む熱風が充満していた。そのせいなのか、メッカ巡礼を終えた高齢の女性が体調を崩したらしい。祈りの大合唱は、乗客たちによる女性の無事への祈りだった。そのおかげか、女性は大事に至らなかったようだ。ただ、間もなく、機内には無情なアナウンスが流れた。「出発はさらに遅れる」
そういえば、河野氏の姿が機内にない。空港の待合室でじりじりとしているのか。「日アラブ政治対話」での演説の練習でもしているのか――。
とんでもなかった。河野氏はこの時すでに、機上の人となっていたのだ!
同行者によると、河野氏はジッ…