会談する河野太郎外相(左)とイスラエルのネタニヤフ首相=エルサレム
中東を歴訪中の河野太郎外相は25日午後(日本時間26日未明)、エルサレムでイスラエルのネタニヤフ首相と、パレスチナ自治区ラマラでパレスチナ自治政府のアッバス議長と相次いで会談した。河野氏は両氏に「エルサレムの最終的地位は当事者間の交渉により解決されるべきだ」と述べ、イスラエル、パレスチナ両当事者間の交渉再開を促した。
米トランプ政権がエルサレムをイスラエルの首都と認定して以降、主要国の外相が訪れるのは初めて。
日本側の説明では、河野氏はアッバス氏との会談で、イスラエルと将来独立したパレスチナ国家による「2国家共存」による解決を支持する考えを表明。アッバス氏は「河野氏がパレスチナを訪問されたことをうれしく思う。まさに、日本政府からの信認だと思う」と応じた。
アッバス氏はさらに「パレスチナ側として暴力に訴えることは考えていない」とも述べ、各国との対話や交渉を引き続き進めていくことに意欲を示したという。ただ、外務省関係者によると、「米国の関与が引き続き重要になる」との河野氏の指摘に対しては、「米国は公正な仲介者ではない」などと否定的な考えを示した。
アッバス氏との会談に先立つネタニヤフ首相との会談では、河野氏が「米国の果たすべき役割がある」ことを確認。両氏は「当事者間の交渉が重要」であることでも一致した。
河野氏はネタニヤフ、アッバス両氏との会談後、記者団に対し、「これ(米国によるエルサレムの首都認定)で和平交渉が壊れるというのではなく、両当事者とも交渉をするのは、やぶさかではないという感じだった」と強調。「日本としても様々な場面で両当事者が話ができるような場を設定していきたい」と述べた。(ラマラ=田嶋慶彦、エルサレム=渡辺丘)