北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)試射の中止、核実験場の閉鎖を宣言したことについて、河野太郎外相は21日、「核兵器の廃棄について言及しない不十分なものだが、核実験場の閉鎖など言及があったことは、一歩前進だ」と述べた。カナダで開かれる主要7カ国(G7)外相会合への出発前、羽田空港で記者団に語った。
一方で、河野氏は「国際社会が求めているのは現実の行動だ。対外的に言及があったといって制裁が緩和されるわけではない」とクギを刺したうえで、「今後、核、ミサイルの放棄に向けて具体的に動きがあることを期待をしたい」と強調した。
河野氏は先月末、北朝鮮について「次の核実験の用意を一生懸命やっている」と発言し、波紋を呼んだ経緯がある。実際には発言とは逆に、北朝鮮は核実験の中止を宣言した形になるが、記者団からこの点を問われると、「北朝鮮の中での会合を経て、(核実験中止の)結論を出して発表したと思う」と釈明した。
河野氏の発言は3月31日に出た。高知市の講演で「次の核実験の用意を一生懸命やっている」と指摘。米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮研究グループ「38ノース」が今月2日に「外相の発言は衛星画像では裏付けできない」とし、河野氏の発言を否定した。これに対し、河野氏は翌3日に「様々公開されている情報で、実験場を含む核関連施設での活動は続いている」と反論していた。