行政機関の文書廃棄までの流れと見直しのポイント
加計・森友学園や陸上自衛隊「日報」の問題で、ずさんな公文書管理の実態が明らかになる中、内閣府は20日にも、各省庁の意思決定過程を記した公文書の廃棄を防ぐため、ガイドラインの見直し案を示す。だが、「公文書」に対する安倍政権の後ろ向きな姿勢が目立ち、どこまで実効性を持たせられるかが焦点だ。
ガイドライン見直しの最大の焦点は、保存期間が「1年未満」と分類される文書の扱いだ。省庁の公文書は、文書の重要性や性質に応じて「30年」「10年」などの保存期間が設定され、最も短い期間は「1年」。1年未満と判断する基準やその扱いは各省庁に委ねられている。
森友学園への国有地売却や、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊が作った日報をめぐる問題では、各省庁が関連文書を「1年未満」に分類し、いつでも廃棄できるようにしていたことが批判された。
見直しの議論では、省庁の意思決定の過程をたどれる文書は「1年未満」に分類しないと定めることが固まった。さらに、1年未満に分類できる文書として、別に原本がある場合など、複数の具体例を示す。メモ類もパソコンの共有フォルダーに入れた場合は公文書とすることも盛り込む方針。公文書の具体的な基準を示し、省庁の裁量の余地を狭める方向で議論が進んでいる。
■保存範囲、絞る姿勢も
だが、公文書の取り扱いをめぐる問題点はこれだけにとどまらない。保存すべき文書の範囲をことさら狭く捉えようとする省庁の姿勢も目立ち、恣意(しい)的な運用が広がれば、情報公開は後退して、政策決定の過程はより見えにくくなる。
例えば、加計学園の獣医学部新設問題で、首相側近の萩生田光一・内閣官房副長官(当時)が文部科学省幹部に対応を迫ったとされる内容の文書。文書は担当の文科省課長補佐が、萩生田氏が話したとされる内容を同省幹部から聞き取って作ったもので、同省専門教育課のパソコンの共有フォルダーに入っていた。しかし、文科省は、文書は「個人的なメモ」だったと説明した。
ガイドラインは、個人的メモで…