情報の検索、電子メールの送受信、WEB会議……私たちの日常生活はすでにインターネットと切り離せなくなっている。インターネットの先駆けとされる米軍のARPANET(アーパネット)が誕生してからすでに半世紀が過ぎ、最近は量子インターネットという新興技術の名前が米国や欧州の科学技術戦略プランの中にしばしば登場するようになった。量子インターネットは現在のような相互接続する世界にどのような破壊的変化をもたらすだろうか。将来的に従来のインターネットに取って代わる可能性があるだろうか。新華社が伝えた。
量子インターネットは従来のインターネットに取って代わるか?
「インターネット」を基礎とし、これに「量子」の概念を加えた量子インターネットは、従来のインターネットと一体何が違うのだろうか。
わかりやすく言えば、量子インターネットとは量子物理学の原理を利用したもので、今日使用される従来のインターネットとは本質的な違いがある。関連する専門家は、「量子インターネットは複数の量子コンピューターまたはその他の量子デバイスで構成された広大なネットワークと考えることができ、コアとなる機能は、任意のノード間の量子情報の伝達を完全に実現することが可能であり、量子情報処理を100%実現する新たな時代を切り開くことになる」との見方を示した。
ここで1つの誤解を解いておかなければならない。量子インターネットと従来のインターネットの関係は前者が後者に取って代わるものではなく、相互に補い合う関係にあるいうことだ。オランダのデルフト工科大学のチームは先に米国の学術誌「サイエンス」に量子インターネットの概論を発表した。それによると、量子インターネットは人々が今日使用する従来のインターネットと協同発展し、量子情報処理装置との接続を通して、従来の情報処理装置ではもちえなかった能力をもてるようになるという。
中国の百度研究院量子コンピューター研究所の段潤堯所長は取材に答える中で、「量子インターネットは伝送速度、通信路容量、セキュリティなどの面で大きな優位性を備えており、これらの面で従来のインターネットの性能をさらに引き上げることが可能だ。また従来のインターネットは伝統的通信における最重要のインフラとして、量子インターネットの時代にも引き続き重要な役割を担い続けるだろう」と説明した。
量子インターネットの最も革新的な技術的基礎といえば、なんと言っても信頼性の高い量子通信であり、十分に質の高い量子通信路を構築して量子情報の忠実度(フィデリティ)の高い長距離伝送を実現することにほかならない。現在幅広く利用される従来のインターネットはルーターや交換機といったインフラが必要だが、量子インターネットも量子中継器、量子ルーター、量子メモリといったコア技術の部品が必要になる。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年10月21日