昨年のリオデジャネイロ五輪のシングルスで2勝を挙げたニシャリャン。3回戦では、2012年ロンドン五輪の銅メダリスト相手に接戦を演じた=長島一浩撮影
1時間32分44秒にも及んだ卓球の試合を54歳の選手が制し、話題を呼んでいる。
国際卓球連盟(ITTF)が「近年では史上最長のマラソンマッチ」と認めた一戦の勝者は、昨年のリオデジャネイロ五輪でも活躍し、日本のお茶の間を沸かせたニシャリャン(ルクセンブルク)だ。世界ランク60位のベテランは21日、ワールドツアーのオーストラリアオープンで、同13位で19歳のカット主戦型・橋本帆乃香(ミキハウス)と対戦。ゲームカウント2―3と追い込まれたが、第6、7ゲームをともにジュースの展開ながら、16―14、18―16で取り、逆転勝ちした。
「私は本当に強い。自分が誇らしい」と、年の差35歳の試合を制したニシャリャン。「私の年齢では、(こうした試合は)本当にきつい。スタミナ(不足)、ひざの問題、トレーニング不足……。でも試合を決して諦めなかった」「学ぶに遅すぎることはない。私はまだ、辛抱することを学ばねばならない。辛抱、辛抱。私には、まだたくさんの潜在能力がある」とITTFにコメントした。
中国生まれのニシャリャンは、10代で中国代表チーム入り。20代半ばで国を出て、ドイツからルクセンブルクに移って市民権を得た。現在では珍しいペン型ラケットを左手で操り、両面に張ったラバーを反転させながらプレーする。
2015年には、福原愛(ANA)も老練なプレーに翻弄(ほんろう)されて敗戦。福原は「やっぱりショックでしたし、(リオ五輪1年前の)大事な時期に、なんでこんなプレーしてるんだろうってなってしまって。すごくショックで、あれが多分、どん底ですね。底の底です。結構、こびりついて離れない感じがありましたね」と当時を振り返る。
4度目の五輪となった16年のリオ五輪でも、シングルスで2勝。20年の東京五輪は57歳で迎えることになる。