当選を確実にし、「都構想NO!」のくす玉を割った竹山修身氏=24日午後9時38分、堺市堺区、小林一茂撮影
堺市長選は24日に投開票され、自民、民進、共産などの与野党が相乗りした現職の竹山修身(おさみ)氏(67)が、大阪維新の会新顔の永藤英機(ひでき)氏(41)を破り、3選を果たした。次期衆院選が迫るなか、地元の大阪で大型選挙に敗れたことで、維新にとっては痛手だ。投票率は44・31%(前回50・69%)だった。
堺は大阪市に隣接する大阪府第2の都市。維新は、大阪市を特別区に分割・再編する大阪都構想の住民投票を来年秋に実施する方針を掲げており、今回の堺市長選を政治的な影響力を示す「重要選挙」と位置づけて総力戦を展開した。
前回も、現職の竹山氏と維新の公認候補の一騎打ちだった。維新の代表だった橋下徹氏が先頭に立ち、堺市を都構想に加えるかを争点に掲げたが敗退。今回は「堺市では4年間、都構想を議論しない」と公約から外し、市政刷新を訴えた。
竹山氏は反都構想を掲げ、推薦を出した自民、民進、社民、日本のこころに加え、共産も自主的に支援した。維新代表の松井一郎・大阪府知事は「野合談合」と批判したが、及ばなかった。当選を決めた竹山氏は支援者の前で「堺は大阪都構想に入らない。皆さん方とともに再度、確認した。2度目の確認をした戦いだ。都構想はやめて、大阪を再度元気にする」と述べた。
維新の衆院での議席は15。次期総選挙には50~60人程度を擁立する方針で、「単独で法案提出ができるよう21人以上の当選を目指す」(片山虎之助共同代表)との構えだ。直前の大型選挙に敗れ、党勢に影響を与える可能性がある。
都構想の議論も先行きが見通せない。大阪市で住民投票を実施するには、府議会と大阪市議会の可決が必要だ。維新は両議会とも過半数に届かず、公明の協力が頼りだ。公明は大阪で一定の支持がある維新とたびたび歩調を合わせ、堺市長選も自主投票で臨んだ。
維新代表の松井氏は選挙期間中、衆院解散が迫ったことを念頭に、大阪府内で公明が議席をもつ4小選挙区に日本維新の会の候補者を立てない考えを表明し、堺市長選での協力に期待した。維新が敗れたことで、今後の公明の対応にも影響する可能性がある。
日本維新の会は2012年の結党以来、地元の大阪での選挙の強さを基盤に国会で一定の勢力を築いてきた。12年の衆院選では大阪府内19選挙区中12区を制し、全国で54人が当選。その後は出身政党の異なる議員が分裂するなどし、党の顔だった橋下氏も15年末に政界を退いている。(大隈崇)