米バージニア州にある全米ライフル協会(NRA)の本部=ロイター
銃規制強化に反対する米国有数のロビー団体「全米ライフル協会」(NRA)は5日、米史上最悪となったラスベガス乱射事件後に初めて声明を出し、容疑者が銃撃に使った全自動(フルオート)銃のように高速連射が可能となる装置に「追加の規制を課すべきだ」と政府に勧告した。
共和党に強い影響力を持つNRAが限定的ではあるが、規制容認に転じたことで、銃規制がわずかに進展する可能性が高くなった。
今回の乱射事件で容疑者は、1発ずつしか発射できない半自動小銃を全自動で連射できるように改造できる「バンプストック」と呼ばれる装置を使っていた。現行法では全自動銃の所持は厳しく規制されているが、半自動小銃とバンプストックは規制対象ではない。
NRAは声明で「(バンプストックなどの)装置が合法かどうか、直ちに再考するよう『アルコール・たばこ・火器局』に要請している。半自動小銃を全自動のような性能にしてしまう装置には追加の規制が課せられるべきだ」と述べた。
民主党は4日にバンプストックを規制する法案を提出したばかり。NRAとしては、より厳しい規制を求める世論が大きくなる前に手を打った形だ。法規制ではなく行政措置で対処したい思惑もあるようだ。
NRAから多額の献金を受けている共和党も規制容認に傾きつつある。同党のライアン下院議長はラジオ番組で、バンプストックの規制について「明らかに検討する必要がある」との考えを明らかにした。ホワイトハウスのサンダース報道官も5日の記者会見で「我々は議論に加わり、進展させることを疑いなく受け入れる」と前向きな姿勢を見せた。(ワシントン=土佐茂生)