2人一組で要約筆記をする「虹の会」。スクリーンに文字を映すためのカメラがある。前の女性は話し手の言葉のキーワードを書いて示す=2018年4月10日、佐賀県小城市小城町
重度難聴の生徒が今春、佐賀県立小城高校(小城市)に入学した。同校は補聴器への影響を考え、机と椅子の脚すべてにテニスボールを取り付け、静かな教室になるよう工夫。入学式では要約筆記を採り入れて文字を舞台そばのスクリーンに映るようにし、誰もが言葉を見えるようにした。
入学したのは佐賀市の福田創大さん(15)。先天性の重度難聴で、補聴器を付けても音はゆがんでしか聞こえない。教室の机や椅子が動くと大きな音が響き、頭が痛くなるという。
先生たちは福田さんの合格決定後、硬式テニスボールに穴を開け、福田さんの教室の机と椅子の脚に取り付けた。机と椅子の計8脚に、生徒41人分で計328個。動かしても確かに音がしない。隣の教室でも椅子に付けており、さらに真上の教室にも付ける予定だ。
福田さんが通った佐賀市立開成小学校、同市立鍋島中学校での取り組みを参考にしたという。
先月の入学式。永田彰浩校長らの言葉が舞台横のスクリーンに映し出された。スクリーンを話し手のそばに置いたのは、福田さんがあまり視線を動かさなくても、字を読みながら話す人の表情や動きも見ることができるようにしたからだ。
字にしたのは佐賀要約筆記サークル「虹の会」。山津美智子会長(72)ら5人が式場後方に陣取り、2人が分担して文字を半透明のシートにペンで書き込む。手元を写すカメラが設置されており、書かれた文字はスクリーンに映し出される仕組みだ。ほかの人はシートを引いたり、話し手の言葉のキーワードを2人に示したりして補助した。
入学式後のホームルームでは、…