飼育員からエサをもらうパタ=6月28日、大阪市港区の海遊館
大阪市港区の海遊館唯一のラッコで、10日に老衰で死んだパタ(メス、21歳)の追悼写真展が14日、同館で始まった。同館が開館以来27年間飼育していたラッコは、パタを最後にすべて姿を消した。全国の水族館でも激減しており、関係者は危機感を募らせている。
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国内の水族館生まれでは過去最高齢だったパタ。写真展には海遊館の飼育員らが撮りためた写真が壁一面に貼られている。カメラ目線のものや岩陰からのぞく姿など100枚以上。生まれたころの動画も鑑賞できる。以前から海遊館に通っているという奈良市の阪上勝さん(44)は「1週間ほど前、注射されているのを見て危ないのかなと思っていた。ラッコがいる他の水族館は遠いし、パタがいなくなって悲しい」。徳島県北島町から家族で訪れた吉田教子さん(40)は「ラッコはこれまで1、2度しか見た記憶がない。パタは大事にされていたんですね。会いたかったです」と残念がっていた。
パタが生まれた1996年、同館のラッコは90年の開館以来最多の8頭いた。米国から輸入された野生育ちのラッコや水族館生まれも。繁殖のために他の水族館と貸し借りしたり、死んだりして増減を繰り返し、2013年からはパタ1頭だけとなっていた。今月10日朝、飼育員の手を握りながら息を引き取ったという。
全国の水族館でも、ラッコは激減している。
日本動物園水族館協会(JAZA)によると、ピークだった94年には28施設で122頭が飼育された。JAZAの年1回の調査でラッコを飼育していることを把握している9施設に対し、朝日新聞が問い合わせたところ、今年に入って八景島シーパラダイス(横浜市)でも1頭が死に、13日現在で7施設の11頭にまで減った。そのうちオスとメスのペアで飼育されているのは4施設で、年齢や相性から繁殖の可能性が見込まれるのは2ペアのみだ。
海遊館の開館当時からラッコを担当していた地本和史さん(55)はラッコの減少について「輸入が途絶えたこと、ラッコが交尾行動を学習できなかったことが大きな原因」と指摘する。
ラッコの輸入には、ワシントン…