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「九条守れ」俳句訴訟、掲載拒否は「不公正」 地裁判決

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2017-10-14 7:48:44  点击:  切换到繁體中文

 

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さいたま地裁前で判決結果を伝える原告側支援者ら=13日午後、さいたま市浦和区、平野尚紀撮影


集団的自衛権の行使容認に反対するデモについて詠んだ俳句を「公民館だより」に掲載することを拒まれたのは、憲法が保障する表現の自由などに反するとして、作者のさいたま市の女性(77)が、公民館を所管する市に慰謝料を求めた訴訟の判決が13日、さいたま地裁で言い渡された。大野和明裁判長は公民館側が「思想や信条を理由として掲載しないという不公正な扱いをした」などとして原告の訴えを一部認め、市に5万円の支払いを命じた。


判決などによると、女性は2014年6月、集団的自衛権の行使容認に反対するデモに参加した経験から「梅雨空に 『九条守れ』の 女性デモ」という句を詠んだ。所属するサークルの秀作は地元の公民館だよりに掲載されていたが、たよりを発行する三橋公民館(さいたま市大宮区)が「世論を二分するテーマのため、掲載できない」と拒否。女性は表現の自由に反し、掲載を期待する権利を侵害されたなどとして、句の掲載や損害賠償200万円の支払いを求めて提訴していた。


大野裁判長は、不掲載の判断をした公民館長らが過去に教員だった経験から「教育現場で憲法に対する意見の対立を目の当たりにして辟易(へきえき)し、一種の『憲法アレルギー』のような状態に陥っていたのではないかと推認される」と指摘。憲法に関連する文言が含まれた句に抵抗感を示し「理由を十分検討しないまま掲載しないことにしたと推認するのが相当だ」とした。


一方で、表現の自由を侵害されたとの原告側主張については「公民館だよりという特定の表現手段を制限されたにすぎない」として退け、句の掲載請求も認めなかった。(笠原真)



憲法を題材に詠んだ俳句を公民館便りに掲載するのを拒まれた女性に対し、慰謝料を支払うよう、さいたま市に命じたさいたま地裁判決の理由の要旨は次の通り。


■事案の概要


さいたま市大宮区の三橋公民館は2010年から、同館で活動する俳句サークルの句会で特選となった句を公民館だよりに掲載してきた。


14年6月の句会で、女性が詠んだ「梅雨空に 『九条守れ』の 女性デモ」が特選となった。東京・銀座であった、集団的自衛権の行使容認に反対するデモに加わったのをきっかけに詠まれた俳句だった。


句会の翌日、公民館の職員から「世論を二分するテーマで、公民館だよりには掲載できない。代わりの句を提出できないか」と提案があり、句会の代表代行は断った。


女性も公民館に電話したが、この職員が掲載できないことを伝えた。公民館は同年7月、掲載できない理由を、さいたま市の職員でもある館長名義の文書で「公民館は特定の政党の利害に関する事業は禁止している。世論が大きく分かれているものは広告掲載を行わない」と説明した。


ただ、公民館は同年12月、この点を訂正し、「公平中立の立場であるべきだとの観点で、掲載は好ましくないと判断した」とする文書を改めて作成した。


■地裁の判断


公民館は句会が提出した秀句を3年8カ月にわたり公民館だよりに掲載しており、女性が自分の俳句が公民館だよりに掲載されると期待するのは当然だ。この期待は、思想の自由、表現の自由が基本的人権として憲法が保障しているのに照らせば、法的保護に値する人格的利益だ。


被告のさいたま市は、俳句の掲載は中立性に反しており、掲載しなかったことには正当な理由がある、と主張する。ただ、掲載によって公民館がクレームを受ける可能性はあっても、句会の名称や作者名も明示されるため、公民館が俳句と同じ立場とみられることは考えがたい。


掲載を見送った経緯をみると、判断根拠を示した文書を変更するなど場当たり的説明で、十分な検討が行われた形跡がない。公民館が俳句を掲載しなかったことに正当な理由があったとはいえない。職員らは、女性が「憲法9条は集団的自衛権の行使を容認するものと解釈すべきでない」との思想や信条を持っていると認識し、これを理由に不公正な取り扱いをしたというべきだ。


職員らが十分に検討しなかったのは、職員らが小学校や中学校の元教員で、国旗(日の丸)・国歌(君が代)の議論など、憲法に関連する意見の対立を目の当たりにし、辟易(へきえき)し、一種の「憲法アレルギー」に陥っていたと推認される。


そして、憲法アレルギーの発露として、職員らは掲載は問題ではと考え、「九条守れ」という憲法に関連する文言が含まれる俳句に抵抗感を示したと推認できる。


したがって、公民館の職員らが原告の思想や信条を理由として、俳句を公民館だよりに掲載しないという不公正な取り扱いをしたことで、女性の期待が侵害されたといえ、国家賠償法上、違法となる。




 

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