韓国で2014年4月、修学旅行中の高校生ら約300人が犠牲になった旅客船セウォル号の沈没事故で、事故当日の朴槿恵(パククネ)前大統領(65)への報告日誌が改ざんされていたことを示す資料が見つかったと、大統領府が発表した。
大統領府によると、資料は朴前政権のファイルが保存された国家安保室のパソコンから見つかった。これまで朴氏への最初の報告は、船が傾き始めて約1時間経った午前10時と国会などで説明され、日誌にもそう記されていたが、実際には午前9時半に報告されており、日誌は後で書き直されていたという。
朴氏は、救助指揮をとる立場にありながら、当日の動静がはっきりしない「空白の7時間」が厳しく問われてきた。遺族は朴氏の不作為で救助が進まず、犠牲者が増えた疑いがあると批判してきた。大統領府は「当時の1分の重要性を思えば、重く考えなければならない」と言及した。
また進歩(革新)系メディアのハンギョレは「午前9時45分に脱出命令を出していれば乗船者全員が避難できた」との民間研究所のシミュレーションを引用して強く批判した。一方、朴政権を支えた保守系野党は「文在寅(ムンジェイン)政権は事故を政治利用している」と反発している。(ソウル=武田肇)