「貿易収支の数字を書いたカードを毎日持ち歩いている」。ムニューシン米財務長官は14日、記者団に日々の「日課」を明かした。「米国第一」を掲げるトランプ政権は、二国間の貿易赤字を問題視しており、その徹底ぶりをうかがわせた。
日米FTA「特にコメントしない」 米財務長官
特集:トランプ米大統領
主要20カ国・地域(G20)財務相・首脳会議後の取材で、ムニューシン氏は「我々は米国第一の政策についてかなり率直に訴えてきた」と強調。「モノとサービスの両方について、私はG20参加国すべての国との貿易収支を書いたカードを毎日持ち歩いている」と話した。トランプ政権は、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しなど、最優先課題に貿易赤字の解消を掲げており、16日の日米経済対話でも議論されるとみられる。
専門家の間では、二国間の貿易収支はその国の投資や貯蓄に影響されるとみられており、貿易協定で改善するのは難しいとの見方が多い。記者団に「財務省のエコノミストの部下はあなたの考えに賛成しているのか」と問われると、「我々の考え方は、二国間で交渉したほうがより簡単だということだ。我々の現時点での焦点は、一部の貿易協定の再交渉だ」と話した。(ワシントン=五十嵐大介)