中性子星の合体を重力波で観測したと発表する米観測施設LIGOのデービッド・ライツェ代表(左端)ら=16日、米ワシントン、香取啓介撮影
二つの中性子星の合体を重力波と光で観測した米欧の研究チームが16日、米ワシントンで会見した。米の観測施設「LIGO(ライゴ)」のデービッド・ライツェ代表は「重力波天文学とこれまでの天文学が組み合わさり、宇宙で最もパワフルな現象を観測できた」と話した。
星の合体、重力波で観測 発生源から光も 米欧グループ
8月17日に、LIGOとイタリアの「Virgo(バーゴ)」が中性子星の合体による重力波を観測。大まかな位置を特定して世界の天文台に協力を呼びかけ、約70の機関がガンマ線や可視光などを約3週間観測した。
16年に最初の重力波の観測を発表した際、「我々はやった!(We did it!)」と話したライツェ氏は「今回は我々みんなでやった!」とたたえた。
今回の観測データをスーパーコンピューターなどを使って解析したところ、金やプラチナのような鉄より重い元素が、中性子星の合体時に生みだされるという理論とほぼ一致。物質生成の謎の解明にもつながった。ライツェ氏は会見で、曽祖父のものだという金時計を掲げ「この金も何十億年前の中性子星の合体から生まれたことになる」と話した。
一方、地球から1・3億光年という距離の割に、検出されたガンマ線が計算値より弱いなど、予測とのずれもみられたという。ノースウェスタン大のビッキー・カロゲラ博士は「アインシュタインの残した問いに多くの答えをもたらしたが、新たな問いも生み出した」と話す。(ワシントン=香取啓介)