スペインからの独立を目指すカタルーニャ自治州のプッチダモン州首相は19日、公式には独立を宣言していないとの立場を示した。憲法違反だと指摘する中央政府に一定の譲歩をみせたうえ、強硬路線に戻る可能性をちらつかせて交渉に応じるよう迫った。中央政府が同州の自治権停止といった措置を進めれば、緊張が高まる可能性がある。
プッチダモン氏は、スペイン政府のラホイ首相あての書簡で、独立への手続きが「いまなお凍結状態にある」とし、「中央政府が交渉を拒み、抑圧に動くなら、州議会が実施していない公式な独立宣言の採決に向かうだろう」と述べた。譲歩の姿勢を、中央政府を交渉の場に引き出す駆け引きの材料にした形だ。
プッチダモン氏は10日、憲法裁の差し止めを振り切って強行した住民投票を踏まえて、「我々は独立国となる。他国や国際機関に承認を求める」とする宣言に州議らとともに署名。同時に、手続きの凍結を議会で表明し、中央政府に繰り返し交渉を要求していた。
これに対し、中央政府は交渉を拒否。独立宣言が「州の公式な立場かどうか」の説明を求めていたが、2度目の返答だった19日の書簡でも明確な説明がないとみなし、「州首相は回答を拒否した。(法秩序の回復をはかる)憲法155条の発動に向けて臨時閣議を開く」との声明を出した。同州の自治停止などの措置が念頭にあるとみられ、必要な措置を21日に決めて上院にはかる。上院の採決は月内にも進むとみられている。
州側と中央政府がやりとりを重ねる間にも、住民投票を阻止しようとした司法当局の捜査を妨害したとして、独立派の団体トップが「騒乱罪」の容疑で身柄を拘束されている。(パリ=青田秀樹)