台風の影響でJRが始発から運転を見合わせ、駅構内は運転再開を待つ人や遅延証明書をもらう人で混雑した=23日午前7時49分、JR名古屋駅、吉本美奈子撮影
台風21号は東海地方にも爪痕を残した。三重県では1人が死亡し、愛知県でも強風による転倒でけが人が相次いだ。鉄道が23日の始発から運転を見合わせるなど、「超大型台風」の影響が続いた。
23日午前8時ごろ、JRや名鉄が運転を見合わせた名古屋駅の改札前では、通勤客が掲示板を見たり、雑誌やスマートフォンを眺めたりして運行再開を待った。
愛知県一宮市に通勤する会社員男性(62)は「月曜はミーティングでもう会社に着いていないと。あと5分で始まるけど仕方ない」と苦笑い。JRや地下鉄、私鉄は昼までに一部区間をのぞいて運行を再開した。
三重県伊勢市の近鉄宇治山田駅では22日夜、構内が一時20センチほど浸水。駅員らが水の掃き出し作業に追われ、構内にいた利用客も上階へ避難し、10人ほどが一夜を明かしたという。
JR東海によると、東海道新幹線は22日夜、岐阜羽島―米原間のトンネルで漏水が架線にかかって停電。同区間で下り2本が立ち往生した。23日未明に復旧したが、42本が最大約8時間遅れ、乗客は車内で一夜を明かした。
各地の自治体の災害対策本部などによると、三重県では1人が死亡したほか、強風による転倒などで4人が負傷。愛知県では豊橋市の70代男性が原付きバイクを停車中に風にあおられて転倒して重傷を負ったほか、軽傷が3人だった。
浸水被害も相次ぎ、三重県で床上3棟、床下27棟、愛知県で床上は1棟、床下は14棟、岐阜県で床下6棟だった。ほかにも屋根が壊れたり、道路が冠水したりする被害があったという。
休校も相次いだ。東海3県の教育委員会によると、小中高、特別支援学校などの臨時休校は愛知で200校、三重県で316校、岐阜県で377校だった。
中部電力によると、22日夜から23日朝にかけ、三重県で最大約2万5250戸、愛知県で同約5220戸、岐阜県で同約4040戸が停電した。23日午前11時現在も計6千戸以上で続いている。