黄色と茶色のパッケージでおなじみの「オーバンド」=大阪市西成区、滝沢美穂子撮影
■「まだまだ勝手に関西遺産」
「オーバンド」という名前をご存じですか。その名は知らなくても、黄色と茶色でデザインされた箱を一目みれば、ぴんと来る方も多いのでは。
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そう。私たちの生活に身近な輪ゴムの商品名なのです。国内だけで1日1億本使われるという輪ゴム。ちょうど100年前、国内で初めて輪ゴム生産に乗り出した会社が大阪にあると聞いたので訪ねてみた。
オーバンドを製造販売するのが、大阪市西成区に本社を置く共和だ。営業企画グループの山田章博(あきひろ)さん(49)が「1917年に、創業者の西島廣蔵(ひろぞう)が、自転車のチューブを輪切りにしてつくったのが原型と言われています」と教えてくれた。
山田さんによれば、輪ゴムは19世紀にイギリスで開発され、日本にも輸出されたが、第1次世界大戦で欧州各国が生産する余裕がなくなると、日本でも国内生産が求められていた。
共和が国内初の輪ゴム生産を始めるきっかけを巡っては、お札を束ねるために銀行関係者から依頼された、との説も伝わるが、はっきりしないそうだ。
社史には、取引先からブラシ用…