噴煙を上げる霧島連山の新燃岳=14日午前10時5分、宮崎・鹿児島県境
宮崎、鹿児島県境の霧島連山・新燃(しんもえ)岳(1421メートル)について、気象庁は15日夜、噴火警戒レベルを3(入山規制)に維持したまま、大きな噴石や火砕流に警戒が必要な範囲を火口の半径2キロ圏から3キロ圏に拡大した。13日に1日1400トンだった火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が15日に1万1千トンに急増。火山性微動も続いており、今後さらに噴火活動が活発になる可能性があるという。
気象庁によると、火山ガスの放出量が1万トンを超えたのは、2011年1月の本格的なマグマ噴火以来。
新燃岳から北西に約5キロ離れた宮崎県えびの市の観光地・えびの高原では15日午前、高濃度の二酸化硫黄が観測され、学習施設や観光施設が安全確保のため営業を取りやめた。
宮崎地方気象台によると、周辺では南風が吹いており、新燃岳から火山ガスが流されてきたとみられる。えびの高原にある環境省の学習施設「えびのエコミュージアムセンター」の屋外では午前9時に7・4ppmの二酸化硫黄を検出。午前10時45分に閉館した。施設の職員は「室内にいても、のどに痛みを感じた」と話した。近くの観光施設「足湯の駅えびの高原」もほぼ同時刻に営業をやめた。県はえびの高原周辺での火山ガスに注意を呼びかけている。
鹿児島県霧島市は15日、災害警戒本部を立ち上げ、新燃岳から3キロ付近にある2軒の国民宿舎(霧島新燃荘とみやま荘)に対し、従業員も避難させて施設を閉鎖するよう要請した。付近を通る県道104号線や大浪池への登山道は封鎖された。
宮崎県によると、二酸化硫黄は5ppmほどで強い刺激臭を感じ、10~20ppmになると目やのどに痛みが出るという。(小林舞子、稲野慎)