配車アプリ「滴滴出行」の配車の仕組み
中国でタクシーの配車ができるスマートフォンアプリ大手「滴滴出行(ディディチューシン)」が来春にも日本に進出することが30日、わかった。タクシー国内最大手の第一交通産業(北九州市)と提携し、アプリを使った訪日客向けのサービスを始める。東京を皮切りにアプリを使える地域を広げる計画で、今後、外国人観光客の獲得を巡る争いが激化しそうだ。
北京では週末の夜、手を上げてタクシーを拾うのが難しくなる。滴滴のアプリでタクシーを呼ぶ人が多いからだ。滴滴の配車アプリの登録者は4億人近くにのぼる。
アプリの利用は簡単だ。タクシーやハイヤー、自家用車で客を有料で運ぶ「ライドシェア」などからサービスを選び、出発地と目的地を入力すれば迎えが来る。混雑時、お金を余分に積めば優先的に配車されるサービスも。降車時の決済もアプリで済ませられる。運賃の一部が滴滴の収入になる。米国の配車アプリ大手、ウーバー・テクノロジーズと似たサービスだ。
滴滴の運営会社の前身である2社は2012年に創業。ライバルだったウーバーの中国法人を16年に買収し、中国では「1強」状態になっている。将来的に自動運転技術の開発まで見据えているとされ、米アップルや中国の騰訊(テンセント)、阿里巴巴(アリババ)など、ITの世界的大手が歴代の投資者に名を連ねる。
現在は中国市場にとどまらず、海外進出に力を入れる。3月に米シリコンバレーに研究所を設け、人工知能を生かした運転技術の研究を開始。同業との業務・資本提携を通じて海外の事業を広げている。第一交通との提携もその一環だ。(北京=福田直之)
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