北朝鮮による拉致被害者家族連絡会のメンバー17人は6日、来日中のトランプ米大統領夫妻と東京・元赤坂の迎賓館で面会し、終了後に記者会見した。家族らが拉致被害者の写真を手に拉致問題解決への協力を求めると、トランプ氏が写真を手にとり、「これはひどい」という表情で悲しそうに首を振る場面もあったという。
トランプ氏、拉致被害者の家族と面会「愛する人の元に」
田口八重子さんの兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(79)は「拉致問題は日本の最優先課題。安倍首相と協力して取り組んでほしい」と要望。「妹は1歳の子を置いたまま連れて行かれた。その子がここに来ています」と、田口さんの長男の耕一郎さん(40)を紹介。トランプ氏は「感動した様子」で耕一郎さんを見つめたといい、「拉致の形態は家族ごとに違うが、平凡な家庭から人を強引に連れて行く拉致の非道さが実感されたのではないか」と飯塚さんはみる。
曽我ひとみさん(58)はトランプ氏から「日本に帰国できてよかったですね」と言われた。母ミヨシさんの写真を示し「一緒に拉致された母はまだ日本にいません。一日も早く帰って来てほしい」と声をつまらせながら訴えると、トランプ氏は「真剣に聞いていた」という。
横田めぐみさんの母早紀江さん(81)は、トランプ氏が9月に国連総会でめぐみさんの拉致に触れたことへの感謝を伝えた。家族会事務局長で、めぐみさんの弟の拓也さん(49)が家族写真を見せ「これが姉です」と示すと、トランプ氏は手にとってメラニア夫人と目を合わせながら写真を見つめていたという。トランプ氏の発言内容について拓也さんは「外交交渉の話なので、公開することはありません」として明らかにしなかった。(編集委員・北野隆一)