8日、ソウルの韓国国会で演説するトランプ米大統領(右)=AP
アジア歴訪中のトランプ米大統領は8日午前、ソウルの韓国国会で北朝鮮政策に関する演説を始めた。トランプ氏は、核とミサイルの開発を進める北朝鮮は世界全体の脅威だと強調。ホワイトハウスによると、「米国を過小評価するべきではない。我々に挑むべきではない」と警告する。
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トランプ氏は演説で、「米国は強さを通じて平和を構築する」とも訴えた。
トランプ氏は、米本土を直接攻撃できる核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を進める北朝鮮について、米国だけでなく、全世界を脅威にさらしていると訴える。
朝鮮半島に「完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化」を実現するため、国際社会が行動を取ることは「我々の責任であり、義務だ」と強調。国際社会に、一連の国連安保理決議による北朝鮮への経済制裁を完全に履行するよう訴える。
特に、北朝鮮に経済的な影響力を持つ中国などを念頭に、さらなる独自制裁に踏み切るよう求めている。
トランプ氏はこれまで「(北朝鮮と)交渉するのは時間の無駄だ」とし、対話の可能性を否定してきた。ところが、前日の文在寅(ムンジェイン)・韓国大統領との共同記者会見では「北朝鮮が交渉の席につき、我々とディール(取引)するのは理にかなっている」と語り、相手の出方を見守る考えを示した。
トランプ氏は演説で、米軍が原子力空母3隻と原子力潜水艦を現在、西太平洋地域に配置していることを強調。あくまで軍事的措置の可能性を示唆しながら、北朝鮮に対話に応じるよう圧力をかけた。
また、トランプ氏は9月の国連総会での演説で、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」などと挑発した。今回はどういう表現を使うのか注目されたが、過激な発言は影を潜めた。(ソウル=土佐茂生)