「頭がすっきりする」「記憶力向上」などの「効果」をうたい、インターネットを通じて個人輸入されている「スマートドラッグ」27品目の個人輸入について厚生労働省は15日、原則禁止することを決めた。医師の処方箋(せん)や指示書がなければ、輸入を認めないようにする。一般の意見を聞いたうえで、年明けにも規制する見通し。
スマートドラッグは、ネット上で販売されている製品で健康被害や乱用につながる恐れがあるものもある。本来の目的から外れて使われるケースがあると懸念の声が上がっていた。厚労省は今年6月に規制方針を決め、ネットで販売されている薬を調査。学会の専門家らから意見を聞いてきた。
この日、規制対象に決まったのは、てんかん薬「ピラセタム」や注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療薬「アトモキセチン」、意識障害改善薬「シチコリン」など27品目。これまでは個人使用のためであれば1、2カ月分は輸入できた。今後は医師の処方箋や指示書がなければ個人輸入ができなくなる。ただし、海外で薬を処方された人が来日するときに持ち込むことは認める。
健康被害の恐れがあるとして、医師の指示書や処方箋がなければ個人輸入できない医薬品については、厚労省が税関を所管する財務省に通知で品目を示している。通知を改正し、規制対象に今回決まった27品目を加える。
厚労省は定期的に販売されている薬を調べ、健康被害や乱用につながる恐れが高いと判断したものは、同様に規制していくという。(福地慶太郎)