鈴木愛
今季の女子プロゴルフの国内ツアーは、23日から始まるメジャー大会、LPGAツアー選手権リコー杯(宮崎CC)を残すのみとなった。賞金女王争いは、ここまで獲得額1億円を超えている上位4人に絞られた。3月からの38試合、賞金総額37億1500万円の戦いを最後に制するのは誰か。
出るか、森田理香子以来の日本人女王
優位な立場にいるのは、徳島県出身で23歳の鈴木愛だ。5月のほけんの窓口レディース、6月のアース・モンダミン杯で勝ち、その後も安定したプレーを続けてきた。19日まで松山市であった大王製紙エリエールレディスの大会中、岡本綾子さんから「パットのアドレスの時に、ボールとの距離が遠いんじゃない?」と助言を受け、「いい時と比べてかかと側(後ろ)に体重がかかっていたのを、重心を前気味に打つようにした」という。
修正が実り、最終ラウンドはノーボギーで回って2位。手堅く900万円を手にした。「賞金を稼げたし、悔いなく、モチベーション高く(最終戦に)臨める」と気持ちも上向きだ。鈴木がこのまま逃げれば、2013年の森田理香子以来の日本人女王となる。
逆転狙うキム、イ、申の3人
追う3人の韓国勢は、いずれも最終戦で優勝することが絶対条件だ。6月までに3勝を挙げて中盤戦を快調に走ったキム・ハヌルはここに来て失速気味。エリエールレディスが行われた冷え込んだ松山では、「私は寒がりなので、ゴルフに集中できなかった」と42位に沈み、テンションは低かった。イ・ミニョンも調子はいま一つ。勝負どころでパットが入らず12位。「自分自身、頭にきている」といら立つ場面もあった。
3人の中で一番勢いがあるのはエリエールレディスを17アンダーで制した申ジエだ。2年前のリコー杯で優勝しており、「コースも、宮崎の街も大好き」と2週連続優勝に自信をのぞかせる。韓国、米ツアーで賞金女王に輝いた実績を持ち、日本では昨季のランキング2位が最高成績。「3カ国制覇」に意欲を見せるが、鈴木が最終戦で賞金ゼロという条件が必要だけに厳しいか。「でも、優勝目指して最後まで諦めずに頑張ります」と話す。
リコー杯はメジャー大会で優勝賞金は2500万円と高いだけに、まだ波乱の可能性はある。だが、単独6位以上なら、ライバルの成績にかかわらず女王の座が確定する鈴木が持ち前の安定感を発揮できれば、4年ぶりの日本人女王が誕生しそうだ。(平井隆介)
ここまでの賞金額と、女王になるための条件
※左から順位、名前、賞金額(鈴木との差)、女王に輝く条件
1位 鈴木愛 1億3601万2631円(――) 単独6位以上で確定
2位 キム・ハヌル 1億1618万3000円(1982万9631円) 優勝で鈴木が単独7位以下
3位 イ・ミニョン 1億1193万9365円(2407万3266円) 優勝で鈴木が単独15位以下
4位 申ジエ 1億1126万1865円(2475万766円) 優勝で鈴木が賞金0円の場合
〈最終戦のLPGAツアー選手権リコー杯の優勝賞金は2500万円。2位は1450万円〉
ここ10年の賞金女王と獲得額
2016年 イ・ボミ(韓) 1億7586万円
15年 イ・ボミ 2億3049万円
14年 アン・ソンジュ(韓) 1億5307万円
13年 森田理香子 1億2667万円
12年 全美貞(韓) 1億3238万円
11年 アン・ソンジュ 1億2792万円
10年 アン・ソンジュ 1億4507万円
09年 横峯さくら 1億7501万円
08年 古閑 美保 1億2085万円
07年 上田 桃子 1億6611万円
※1万円未満は切り捨て