撮影は「ほぼ編集なしの1回勝負」が基本。リハーサルなどを含め、1本(10分)にかかるのは1時間ほど。アシスタント(右)らが円滑な収録を支えている=名古屋市中区
民放の料理番組として最も長い歴史を持つ「キユーピー3分クッキング」(CBCテレビ、名古屋市)が12月に55周年を迎える。「簡単、便利、毎日の献立づくりに役立つ」をコンセプトに、紹介したメニューは1万5600種超。時代の移り変わりや視聴者のニーズを捉えながら番組づくりを続けている。
11月中旬、名古屋市中区にあるスタジオでは、12月4~8日に放送する「時代を代表するメニュー」の収録が進められていた。
キッチンのセットに立つのは講師歴37年の宮本和秀さん(66)。父の三郎さんは初代講師を務めた。宮本さんは「料理をつくりながらしゃべるのは本当に楽しくて、苦労はありません。37年たっても収録前は眠れないほど緊張しますが、それも『良いストレス』。幸せです」。収録後、晴れやかに振り返った。
番組は1962年12月3日に開始。現在の放送時間は10分だが、当時は5分(正味3分)だったことから「3分クッキング」の名がついたという。
この間、家庭の食卓を取り巻く状況は大きく変わった。たとえば、物流の発達で沖縄・九州特産のゴーヤーのような地域色の強い食材の入手が全国でたやすくなった。オイスターソースやオリーブオイルなどが家庭に浸透し、調理器具も電子レンジがおなじみの存在となった。
意識も変わった。宮本さんは、…