「大学入学共通テスト」の試行調査の特徴
2021年1月から始まる「大学入学共通テスト」について、大学入試センターは4日、第1回試行調査の問題を公表した。国語と数学で記述式問題が導入されたほか、複数の資料を読み解いたり、探究活動を重視したりする問題が各教科で出され、現在の大学入試センター試験と比べて出題傾向が変わった。入試センターは採点途中のマークシート式問題の正答率も公表したが、「分析中」だとして、センター試験との難易度比較はしていない。
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試行調査は11月、英語を除く5教科11科目について行われ、全国約1900校の延べ約18万人の高校2、3年生が参加。マーク式問題は約7割の採点が終わっているが、記述式問題の採点はこれからで、結果は来年3月までに公表する。
小中高で教える内容を決めた学習指導要領は見直しが進み、20年度の小学校から順次実施される新指導要領では、十分な知識をもとにした思考力・判断力・表現力を重視する。試行調査もこうした点を意識し、暗記した知識を問うのではなく、生徒会規約や会話文などを読み込んで答える国語の記述式問題のように、複数の資料を読解させる問題が多かった。
この結果、問題冊子のページ数はセンター試験と比べて大きく増え、グラフや表、会話文などが盛り込まれた数学Ⅰ・数学Aは過去3年のセンター試験で最も多かった16ページから32ページに倍増。地理や歴史でも、ページ数が大幅に増えた。試験時間は国語がセンター試験の80分から100分に、数学Ⅰ・数学Aは60分から70分に延びた。
マーク式問題の正答率は0・9~87・1%。資料から抜き出した情報を組み合わせて考える問題や、数学で出された、与えられたデータから2次関数の式を立てて考えるような問題に苦戦する傾向が見られた。2年生も受けていることや部分点の配点が未定のため、教科ごとの正答率は出していない。
大学入試センターは記述式問題の正答率なども踏まえ、来秋に再び試行調査をする予定。必要があれば19年にも実施するという。共通テストの英語は「読む・書く・聞く・話す」の4技能を評価するため民間の検定試験を活用する。ただ、24年までは入試センターが作成する「読む・聞く」の問題も併用されるため、来年2月に試行調査を実施する。(増谷文生)