スズキの新型「スペーシア」=14日、東京都渋谷区
スズキは14日、軽自動車「スペーシア」を全面改良して発売した。バックするときに障害物を検知してブレーキをかける機能を軽で初めて導入するなど、安全装備に力を入れた。室内もより広くして使い勝手を高め、軽市場を独走するホンダの「N―BOX」に対抗する狙いだ。
車高が高く、室内が広い「ハイトワゴン」と呼ばれる車種になる。フロントガラスを前方に押し出すなどデザインを工夫し、開放感をより実感できるようにした。衝突被害軽減ブレーキも標準装備した。
モーターでエンジン走行を補助する簡易ハイブリッド車の機能も全車に搭載し、燃費は1リットル当たり30・0キロを達成。車の周囲を立体的に映し出す全方位モニターや、フロントガラスに車速などを投影する「ヘッドアップディスプレー」もオプションで選べる。
価格は、消費税込み133万3800円から。今秋に全面改良した新型N―BOX(同138万5640円~)より抑えた。
ハイトワゴンでは、N―BOXが2012~16年度に4回、軽の年間販売で首位になっている。ダイハツ工業「タント」など、他のライバルメーカーも商品力の高いモデルを投入しており、競争は激しい。
スズキの鈴木俊宏社長は東京都内の記者会見で「N―BOXは非常に強く、我々はチャレンジャー。装備はかなり充実させたが、価格の高騰を抑え、皆さんに手の届く価格にするのがスズキの強みだ。営業力やサービス力の強化も進める」と述べた。
スズキは併せて、迫力あるデザインを売りにした「スペーシア カスタム」も売り出した。価格は同157万6800円から。(青山直篤)