内野聖陽さん=東京都港区赤坂、篠田英美撮影
ドラマ「ヘヤチョウ」に主演
「俺、今度小説に挑戦したんですよ。ドラマ化された暁には、内野さん、主演やってくれますか」「何言ってるんですか。当たり前ですよ」
年齢重ね、主人公にふさわしく 内野聖陽さん一問一答
酒とともに交わした、亡き“兄貴”との約束が、やっと実現した。
「ヘヤチョウ」(朝日系、17日夜9時)の原作者・飯田裕久は、警視庁捜査1課の元刑事。退職後は警察ドラマの企画協力や演技指導などを担当、ドラマ「ゴンゾウ」「臨場」で内野と仕事をした。
捜査や検視の現場とは――時には模擬検視までするなどアドバイスは事細かだった。「警察監修の枠を超えて、僕らのフィクションの世界に携わってくれた。みんなから愛され、頼りにされていた」
2人で飲みに行ったり、手料理を振る舞われたり。ところが2010年夏、飯田が脳出血のため46歳で急逝。「兄貴のような、親友のような存在。一生付き合わせてもらうんだろうなって。だから、この約束はいつか果たさないといかんぞ、と思っていた」
今回演じる主人公の釜本宣彦は、父親の介護や妻の家出などに悩みながらも難事件に挑む武骨な刑事。「そこまでですかって、飯田さんの声が聞こえてくるような感じがして」。リアリティーを出そうと、殺人現場で髪の毛が落ちないようキャップをかぶるなど「テレビ映えしない」演出にもこだわった。
刑事の人生が丹念に描かれ「サスペンスものよりちょっと地味かも」と笑った後、こう続けた。「戦う刑事もヒーローじゃなく、色んなものを背負って生きている。それはどの世界も一緒。通じるものがあったら、うれしい」(野村杏実)