閉店することになった、しにせ百貨店の丸栄=名古屋市中区
名古屋・栄の老舗百貨店、丸栄は18日、来年6月30日に閉店すると正式発表した。解体後、2020年にも暫定的な商業施設をオープンさせる。その後、周辺ビルと一体開発し、27年をめどに衣料品や飲食店、住居を含めた新たな施設に建て替える方針。
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「事業継続が難しくなった。お客様にご迷惑をおかけすることを深くおわびしたい」。この日、名古屋市内で会見した丸栄の浜島吉充社長は厳しい表情で語った。
創業400年余りの丸栄は、松坂屋、名古屋三越、名鉄百貨店とともに「4M」と呼ばれ、名古屋を代表する百貨店の一つ。だが近年は、小売業の競争激化のあおりを受けて業績が低迷。2017年2月期まで25年連続で減収が続く。
今年7月に親会社の総合商社、興和の完全子会社となり、百貨店からテナント業へ転換をめざしていた。しかし既存テナントから退店の申し出が相次ぎ、建物の耐震性が懸念されることもあって閉店を決めたという。
閉店後は解体し、20年にも暫定的な商業施設をつくる。その後、広小路通を挟んで北側にある「栄町ビル」「ニューサカエビル」も解体し、一体的な商業施設とする方針だ。会見に同席した興和の山下孝治副社長は「更地にしておくにはもったいない土地。近隣ビルのテナントや地権者との交渉が残っており、2段階方式で開発する」と説明した。
一体開発する施設は「衣食住が入る複合施設」(山下氏)という。リニア中央新幹線が開通する27年をめどに開業し、事業費は最大2千億円規模になる見込みという。新施設の名称は未定。山下氏は「社名には『丸栄』を残したいが、店名に『丸栄』が残る可能性は低いと思う」と語った。
丸栄は閉店後も外商部門は残す。今後、255人の社員やパートに対し、希望退職を募る。退職希望者には興和のグループ会社へ移ることも支援する。(高橋諒子)