日本音楽著作権協会(JASRAC)とヤマハ音楽振興会などの音楽教室が著作権料の徴収で対立している問題で、音楽教室側は21日、JASRACとの訴訟で確定判決が出るまで徴収を保留するよう文化庁長官に裁定を求める申請をした。JASRACは来年1月1日の徴収開始をめざしていたが、少なくとも数カ月ほど先送りとなる。
裁定は、ヤマハ音楽振興会など音楽教室でつくる「音楽教育を守る会」が著作権等管理事業法に基づいて申請した。教室側は、そもそも練習や指導のための演奏には著作権が及ばないとして、JASRACに徴収する権利がないことの確認を求めて東京地裁で係争中。裁定申請では、この司法判断が出るまで徴収を待つよう求めている。
文化庁は申請を受けて21日、文化審議会に諮問した。複数回の審議で裁定までに数カ月かかる見通し。JASRACは裁定が出るまで徴収ができない。
文化庁は、音楽教室での演奏に著作権が及ぶかどうかの判断には立ち入らず、徴収開始を遅らせることが著作権等管理事業法上、妥当かどうかを慎重に検討する構えだ。裁定の結果によっては、JASRACが文化庁に対し損失の補償を求める訴訟を起こす可能性もあり、文化庁は難しい対応を迫られている。(赤田康和)