韓国の忠清北道(チュンチョンプクト)堤川(チェチョン)市で起きたビル火災から一夜明けた22日、現場に立つ警察官ら=AP
韓国の忠清北道(チュンチョンプクト)堤川(チェチョン)市で8階建ての複合ビルが全焼し多数が死亡した火災で、消防当局は22日、死者のうち20人は2階の女性用サウナ施設で見つかったと明らかにした。火元の1階駐車場から出た黒煙が階段を通じて2階にも一気に広がり、逃げ道をふさいだとみている。
韓国でビル火災、30人死亡 銭湯やサウナの客が多数
消防当局は22日午前0時半ごろ、火災による死者は30人に達したと発表したが、再度調査したところ、遺体を誤って数えていたとして、死者は29人と訂正した。死者のうち23人が女性だった。負傷者は29人で、多くは軽傷という。
消防などは22日朝、現場検証を行った。女性用サウナ施設には脱衣所や浴場などがあり、「迷路のような構造」だったという。有毒ガスを含んだ黒煙を吸い込んで亡くなった人も多かったとみている。火元の1階の駐車場では客らが止めた乗用車15台が全焼しており、車の燃料に次々に引火したことが炎の勢いを大きくしたと見ている。
一方、火災の発生時、周辺では路上駐車していた車が多く、消防車がすぐに近づけず初期消火が遅れたとの指摘も出ている。韓国メディアは「過去の火災の教訓が生かされていない」と批判している。
堤川市では、22日、来年2月の平昌冬季五輪の聖火リレーが通る予定だったが、中止になった。日本大使館によると、身元不明者を除いて日本人の被害は確認されていない。(ソウル=武田肇)