亡くなった生徒の仏壇には、中学生のときに使っていたバスケットボールが置かれている=関東地方の遺族宅
大阪市立桜宮(さくらのみや)高校バスケットボール部の主将だった男子生徒(当時17)が顧問の暴力がもとで命を絶ってから23日で5年となる。遺族は悲劇が繰り返されないことを願うが、教師の指導を原因とする自殺は今年も起きている。市は同様の事案の解決にあたる第三者機関の設置を国に要望している。(金子元希)
桜宮高校の自殺した生徒の父(48)は、「毎年この時期は当時を深く思い出す。その繰り返しをしてきた」と話す。関東地方の自宅の仏壇には、使い込んだバスケットボールが並ぶ。生きていれば大学4年生のころ。お供え物に缶ビールが加わる。一緒に酒を飲んだのだろうか。そんな思いがよぎる。
大阪市に賠償を求めた訴訟では昨年3月、元顧問の暴力が自殺の原因だったと認める判決が確定した。「前向きに考えられるようになった」と思える一方で、時の経過とともに「息子の事案が風化しているのでは」と懸念する。
今年10月、福井県池田町の中学校で教師の厳しい指導や叱責(しっせき)を原因として生徒が自殺した事案が発覚した。大阪市でも、中学校の講師が部活の指導で暴言や暴力行為を繰り返したとして11月に懲戒処分になった。「どうすれば命を落とす子どもがなくなるのか。考えてもその答えが出ない」
遺族には向き合う課題が残る。損害賠償の裁判後、市は元顧問に一部を負担してもらう交渉を進めた。だが、協議はまとまらず、市は11月、賠償金と遅延損害金を合わせた8723万円の半額を元顧問に求める訴訟を起こした。母(49)は元顧問について「誠意ある謝罪の気持ちを見せてほしい」と話し、裁判の行方を注視していく考えだ。
■閉鎖性解消へ模…