栃木県大田原市の黒羽刑務所など計4カ所の刑務所・少年院が、5年以内に閉鎖される見通しであることが法務省への取材でわかった。施設の老朽化に加え、収容者も減少していることから、同省では閉鎖が適当と判断。跡地利用について検討を進めている。
同省によると、2018年3月末に置賜学院(少年院、山形県米沢市)、19年3月末に佐世保刑務所(長崎県佐世保市)と小田原少年院(神奈川県小田原市)、22年3月末に黒羽刑務所を閉鎖する方針という。
このうち黒羽刑務所は、犯罪傾向が進んでいない男性受刑者を収容する。過去には、薬物や東京地検特捜部の事件などで有罪となった文化人や財界人も服役した。施設は旧耐震基準だった1971年に建設された。収容者は定員1780人に対し、現在は約1300人にとどまっている。
上川陽子法相は22日の閣議後会見で「行財政事情が厳しいなか、最近の収容動向を踏まえたうえで、効率的な施設運営を確立する必要がある」と発言。黒羽刑務所の閉鎖について「歴史の一ページに幕を閉じるということで、大変苦渋の決断だった」と述べた。
同省矯正局によると、跡地利用は4カ所とも検討段階で、残っている収容者は閉鎖までに近隣の刑務所などに移す方針だという。(小松隆次郎)