日本海を見下ろす洞泉寺の無縁墓=秋田県男鹿市
日本海を見下ろす秋田県男鹿市の丘に、引き取り先のない遺骨を納める無縁墓がある。この冬に相次いで漂着した北朝鮮の漁師とみられる身元不明の遺体はここで弔われる。墓を訪れる人はほとんどおらず、引き取られるケースもまれだ。住職は、異国の地で葬られた人々の祖国での厳しい暮らしに思いをはせる。
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「こんなに身元不明遺体が多い年は今までなかった。何が起こってるんだろう」。年の瀬を迎え、無縁墓がある男鹿市の曹洞宗洞泉寺(とうせんじ)の小嶋良宣住職(62)は思う。お堂で毎日、納骨前のお骨を前に読経している。骨つぼの覆いに戒名は書かれていない。「供養する気持ちは、外国人でも日本人でも同じ」と言う。
市内の海岸には例年、数人の身元不明の遺体が漂着してきた。今年は計13人。11月26日に漂着した木造船の中から一部が白骨化した8人の遺体が見つかり、12月7日には別の場所で一部が白骨化した2人の遺体が発見された。
洞泉寺では、先代の1960年ごろから市内で見つかった身元不明遺体を、市から委託されて供養してきた。市が火葬後、骨つぼを納骨まで1年ほどお堂の片隅に仮安置する。今年は13人分で仮安置の場所が足りなくなり、遺骨を載せるテーブルを増やした。
市福祉事務所によると、これま…