大きさごとにトラックの水槽に入れられるケンサキイカ=唐津市呼子町殿ノ浦
佐賀・呼子のイカの活(い)きづくりが東京でも食べられるようになったという。生きたままの輸送は従来、数時間で運べる福岡や北九州までだった。関係者の知恵と技術が、20時間近い輸送と、その後の都内各所への配達を可能にした。水揚げの翌晩には銀座や赤坂の料亭でも、透明な足がにょろにょろして皿から這(は)い出さんばかりの状態で供される。
水曜の朝、唐津市呼子町の水産会社「灘活(なだかつ)水産」の前に、大型トラックが横付けされた。ゴム長姿の古賀和裕社長(60)が屋内のいけすに入り、イカを両手でそっとすくい上げ、かごに移し替える。それを、大きさごとにトラックの四つの水槽に入れていく。
「人肌で触れたら、やけどしたように跡ができ、売り物にならない」。そう言う古賀さんは、いけすの水ごとすくい、イカにじかに触れないように注意しているのが分かる。
イカはその日未明までかけて、呼子を中心に長崎や山口の漁師たちの手で釣り上げられた高級のケンサキイカ。じかに触れないようにする気づかいは漁師も同じ。かかった疑似餌をそっと船のいけすに向け、イカをぽとんと落とす。
そうした気づかいは九州大学と…