下甑島で目撃されたアシカ。アシカの若いオスの特徴となる頭頂部の白みが分かる=17日、浜田敏宏さん撮影
今年3月に鹿児島県薩摩川内市沖の下甑島(しもこしきじま)でアシカのような動物が目撃され、写真を分析したかごしま水族館が、「アシカに間違いない」と発表した。野生のアシカなら珍しい目撃例だ。東太平洋に生息するカリフォルニアアシカなどのほか、絶滅したとされているニホンアシカの可能性もあるという。
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アシカと見られる動物は、3月15~16日、薩摩川内市下甑町手打の釣掛崎と呼ばれる下甑島南部の岬付近で、複数の地元漁師によって目撃された。17日朝には同島の漁師浜田敏宏さん(51)が写真の撮影に成功。漁船で10メートル程度まで近寄ったところ、「ウォ、ウォ」と威嚇するようにほえ、海に飛び込んだという。浜田さんは「体長2メートルくらいはあったんじゃないか。けんかしたら多分負けると思う」と話した。
浜田さんは18日、かごしま水族館に「オットセイがいる」と連絡。画像を確認した同水族館は、日本近海にいないはずのアシカの特徴がみられたため、水産研究・教育機構国際水産資源研究所(横浜市金沢区)の清田雅史・外洋生態系グループ長に、種の判別を依頼した。
その結果、脚の形などから、オットセイではなく、アシカの仲間と判断。頭頂部が白くなるという若いオスのアシカの特徴も確認できたという。
太平洋東部に生息するカリフォルニアアシカかガラパゴスアシカが迷い込んだものと考えられるが、かつて日本近海に生息し、すでに絶滅したとみられているニホンアシカの可能性もあるという。同水族館によると、ニホンアシカは1975年に竹島での目撃例を最後に発見されていない。