安城学園―大阪桐蔭 2回の延長戦の末、勝利した大阪桐蔭=東京体育館
(28日、バスケットボール・全国高校選手権女子決勝)
2度目の延長も残り27秒。スコアは84―84。大阪桐蔭の鈴木がコート中央からゴール下に突っ込む。相手守備を引きつけ、パスを左サイドから寄ってきた小林へ。決勝のシュートがリングをくぐる。コートに身長185センチの竹原はいない。それでも、大阪桐蔭は強かった。
森田ヘッドコーチ(HC)はチームのスタイルをこう語る。「竹原を軸に中と外のバランスで戦う」。だが、「中」を担う竹原は相手ゴール下で安城学園の2人にマークされ、わずか7得点。競り合っていた再延長残り2分38秒で5反則退場。ベンチで涙をぬぐっていた。「冷静じゃなかった」
高校野球では、夏4度、春2度の全国優勝を誇る強豪校。竹原は大会前、同学年で今春の選抜大会を制した野球部エースの徳山から「日本一になってこいよ」とエールを受けた。女子バスケット部は今夏の高校総体4強が全国の最高成績。この大会も2回目の出場だった。「上から目線で言われた気がして、『負けへんからな』って言いました」。その気持ちを共有する3年生が苦しむ竹原を救った。
鈴木は果敢なドライブと3点シュートで27得点。身長176センチの永井が「自分の仕事をする」と体を張って17リバウンド。主将の永田は延長の苦しい場面で3点シュートを沈めた。何よりも、よく走り、安城学園の金子HCに「最後は脚力にやられた」と言わせた。
初めて頂点に立ち、森田HCは感慨深げに言った。「竹原に頼ってきた分、支えようとみんな頑張ってくれた。個ではなく、チームワークで勝ち取った優勝です」。竹原も「1人でたくさん点をとるよりも、いい勝ち方ができた」。そして、永田は笑った。「バスケは優勝もしたこともなかったし、いい成績をおさめられていなくて悔しかった。野球部を超えたいと思ってきた。これで胸を張って大阪に帰れます」(小俣勇貴)
安城学園、追いつかれ
安城学園の金子寛治ヘッドコーチ(HC)は「もったいなかった」。長身センター対策がはまり、10点リードして第4クオーターに。そこから追いつかれて優勝を逃した。16歳以下日本代表の野口(2年)は「一人一人がしっかりやっていればよかったが、できなかった。もう一度決勝の舞台に立って、日本一になりたい」と話した。