柄谷行人さん=西田裕樹撮影
哲学者の柄谷行人さん、13年目。美術家の横尾忠則さん、9年目。朝日新聞読書面の書評委員を長く務める二人が、坂口安吾や三島由紀夫、18世紀の思想家カントやスウェーデンボルグらに触れながら、書評や子どもの頃の読書、時代との向き合い方などについて縦横に語りあった、初めての異色対談です。
「転向」が共通点
――お二人にはいくつか共通点がありますね。ともに兵庫県出身で、柄谷さんは文芸批評家から哲学者に、横尾さんはグラフィックデザイナーから画家に転向しました。また昨年は互いに「書評集」を出しました。
横尾 僕と柄谷さん、視覚と言語の違いはありますが、風土的な共通点がありますね。見た目ですが、柄谷さんはちょっと不良っぽい。そこは大事な点。
柄谷 坂口安吾の言葉でいうと「無頼」。頼るものがないという意味で、僕は無頼ですね。
横尾 無頼っていうのは無手勝流で流派がない。創作の根幹は無手勝流と無邪気さですよ。それから関西人の言葉と身体性の一致は重要だと思うんです。お笑い系がそうです。
柄谷 僕は中学生のころ、漫才の台本を書いていたんです。関西人ですね。
横尾 僕ね、二人の職業の共通…