予選のジャンプを終え、自身の得点を確認するため大型ビジョンを見つめる葛西紀明
ノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(土屋ホーム)が2017年の12月31日、ワールドカップ(W杯)で今季2度目の予選落ちとなった。同年11月に5季ぶりとなる予選敗退を喫したばかり。本場欧州で「レジェンド」とたたえられる45歳は、2月の平昌五輪(韓国)を前に深い悩みに陥っている。
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「(2010年の)バンクーバー(五輪)前ぐらいじゃないですか。こんなに悩んだの」。葛西は、首をかしげながら姿を見せた取材エリアで漏らした。
ガルミッシュパルテンキルヘンであった伝統のジャンプ週間第2戦を兼ねたW杯個人第9戦(HS140メートル)の予選。115メートルと伸びず、K点(120メートル)を越えられなかった。観客からスタンディングオベーション(立ち上がっての拍手)を受けたが、67人中58位で、上位50人による本戦に進めなかった。
直前の公式練習は悪くなかった。1回目は全体で11番目の飛距離となる127メートル。ただ、調子が上がらない今季、葛西が課題にしている助走速度はいま一つだった。同じスタート位置で飛んだ選手の平均より時速は0・1キロ遅く、速い選手には時速1キロ弱離された。「スピードが出てないのが、気になっちゃって。不安の中で飛んじゃった感じだった」
今季、本戦に進んだW杯5戦では、10位が最高と低空飛行が続く。「いけるときは、『よし』というのがあるんだけど、色んなこと考えながらやってたら、不安しかなくなる。スタートする前に色んなこと考えて、駄目だなって気付いちゃう。それが出てしまっている」と苦笑いした。
直前まで調子が上がらずに不安だったという8年前のバンクーバー五輪。大会に入って復活し、個人ラージヒルで8位入賞を果たした経験もある。歯車がかみ合えば、一気に立ち直れることは自身が一番分かっている。ジャンプ週間はオーストリアである残り2戦。「次のオーストリアシリーズで、きっかけをつかみたい」(ガルミッシュパルテンキルヘン=勝見壮史)